今回の日本滞在で、アメリカで知り合ったのだけど、日本に帰国した日本人のお友達に4人ほど会いました。今までこのパターンはなかったのだけど、最近になって帰国する友達がいきなり増えて寂しい限りだったのですが、今回久々に元気な顔を見れてよかったです。彼らが帰国した理由ですが、一人は駐在員家庭なので任期終了、一人はご主人が実家の家業を継ぐので一緒に帰国、残り二人は幾つか理由があるとのことですが、主な理由はアメリカでの高額な医療費に嫌気がさしたからでした。今日はそんな彼女たちに会って話を聞いて考える、アメリカの医療費のお話です。

 

 

アメリカには、日本のような国民健康保険制度はありません。日本では原則として国民全員が国民健康保険や健康保険組合などの公的保険に加入していますよね。日本で生活していると、普段医療費を意識せずにいられるのは公的保険に入っているからこそであり、自治体が医療費の大半を払っていて、国民の医療費の支払いは2、3割で済んでいるわけです。

 

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一方のアメリカでは、公的医療保険は、所得、障害、年齢などで明らかに払えない人のためのものはありますが、公的保険に入っていない人が圧倒的に多いのが現状です。ある程度の規模の会社に勤める国民は職場を通して、起業もしくは保険を提供しない会社の場合は自分で、民間の医療保険を契約します。ただ自分で保険料を払うオプションは非常に高額で、オバマケア(医療保険制度改革法)が始まるまでは無保険の人も普通〜にいました。それは低所得者だけ、というわけでもなくて、日本人でも払えなくて家族みんな無保険みたいな人が、普通に隣に住んでいたりするのです。

 

オバマケアは国民全員の医療保険加入を目指すものですが、実態はうまく機能しないことも多いです。第一に今まで職場を通して保険に加入していた国民の医療の質は落ちると言われていますし、保険を払えない人のための支払いは払える人の負担になるわけですから(保険料の値上がりなどによって)、大多数の働ける人たちの不満が増えるのも分からないでもありません。オバマケアを受ける側の問題としては、収入が安定しない私の日本人の知り合いは、数ヶ月などの期間収入が少ないとオバマケアの受給資格が手に入りますが、収入が発生した途端により多くの保険料を支払うことになるそうで、出費が増えたと頭を抱えています。

 

保険額は保険の種類と、職場の負担割合によって、大きく変わってきます。私の働く機関は保険を多く負担してくれるので保険額は少ない方ですが、私プラス家族で毎月300ドル近く払っています。それなのに医者に実際かかるたびに、コーペイ(自己負担額)とか、カバーされない分とか、けっこうな額の収入が来るんですよ。

 

医療費 アメリカ

 

アメリカの医療費の仕組みはとても複雑です。20年近くアメリカに住む私もよく分かっていません。例えば出産で一泊の入院をするとして、病院、産婦人科医、麻酔医、血液検査などを行うラボ、などなど、別々に請求が来て、それぞれが高額。どこからどのくらいの請求が来るかもよく分からないので、請求書が来るまでいつもドキドキです。私も最初の頃は、保険会社や病院に電話して説明を求めていたのですが、あまりに複雑で面倒なので、もう言われるがままに支払っています。

 

私の長女は食物アレルギーがあり、アナフィラキシーショックで何度か入院したことがあります。救急車を呼び、救急で治療をしてもらい、一泊の入院をすると、保険が通った後も当たり前のように10万円以上の請求がきます。だからいつどんな医療費の出費があるか分からないから、気が休まる時がありません。ちょっとした風邪をこじらせたりで医者にかかると、なんだかんだで数万円になってしまうこともしばしば。

 

だからね、子供の熱が続いたりすると熟考するんです、「これは医者にかかる価値のある病気なんだろうか?」って。命に関わるアレルギー症を持っている長女が「もしかしてアレルギー症状かも」と不安そうにし始めた時も、「本当にこれから10万も出してまで、救急に連れていくべき?」と一瞬迷ったり。生死の境をさまよう我が子を前にそんなことを考えさせてしまうアメリカという国に、私たちはいつか殺されるんじゃないか、と不安な毎日です。

 

アメリカでは医療費の基準を市場に委ねているため、医療費がどんどん高くなります。病院スタッフの人件費が高いことや、医療訴訟が多発するために損害賠償関係の費用が多額になることも、医療費が高くなる原因です。すると保険会社は、高額になる医療費の支払いに備えるために、保険料を上げざるを得ないのです。

 

今回会った日本に本帰国した友人は、私の娘同様、お子さんがアレルギー症状を勃発して救急車で運ばれました。救急車に乗る前に「本当に救急に行かせるのね?」とサインをさせられ、彼女は費用のことを考え、一瞬迷った末に我が子の命を救うために救急へ向かったそう。そして保険を通った後の請求金額が20万円。一度に20万円を払うことができず、分割でやっとの思いで払ったと言っていました。事実、アメリカで、医療費が原因で破産する国民は驚くほど多いです。ミドルクラスの話ですよ。

 

そんな馬鹿げた医療費の支払いを国民に強いるアメリカに比べ、私の実家のある自治体では、子供の医療費は一回につき200円。日本に本帰国した先出の友人の住む自治体では、完全に無料だそうです。アメリカでは10円ハゲまで作って、常にお金の心配をしていた彼女ですが、日本では出費が前もって予想できるので、計画的に家庭内での予算を組めるんだと、アメリカ在住時に比べて笑顔が増えていました。

 

アメリカはスペースも広いし、キャリアも持ち続けやすいし、お給料も日本より高いし、育児もしやすい。パッと見では、私と夫の今のアメリカでの生活はとても成功していて、日本に移住する理由は全くないようですが、医療費だけを考えても日本に本帰国する価値はあるんじゃないか、と思わせる、健康な金持ちにのみ優しいアメリカの実態についてのお話でした。

 

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