4月28日はアメリカ全体でTake Your Daughters and Sons to Work Day(子供達を職場に連れて行く日)というのが設けられていて、オフィスで親と歩く子供達の姿がたくさん見られます。いつもの通勤バスや電車も子供達がたくさんいて、ランチタイムにはオフィス街で手をつなぐ親子の姿が多く、とても微笑ましい1日なのです。自分の子供ができる前から大好きな日でした。私も今年は長女を連れて通勤し、同僚に挨拶をして回ったあとに、職員の子供向けの大きなイベントに参加させました。長女曰く、母親が普段どんな人と、どんな場所で、どんな仕事をしているかを知れたこともよかったけれど、実際にオフィスで働くプロフェッショナルからいろいろ学べたのが楽しかった、と大喜びでした。

 

 

私がこの日が好きなのは、子供が親の働く後ろ姿を見れるいい機会だからというのもありますが、子供達を社会全体で見守る感じが美しいと思うし、未来を担う子供達にもその美しい姿を社会全体で教えることができるから、というのが大きいです。イベント当日に、私が長女と一日オフィス街にいた時も、朝の満員バスでは離れた座席に座ってるおじさん同士が隣同士に座って、私たち親子が一緒に座れるように計らってくれたり、社内を歩いていても声をかけてくれたり、微笑んでくれたり、子供たちがマナーと人の優しさを学ぶ格好の機会なのです。こう言う試みが日本でも行われればいいのに、と思いますが、私が育児を通して経験した日本ではやはりまだ無理なのかな、という諦めがあるのも事実。

 

私は日本へ一時帰国するたびに、小さな子供を連れて駅を歩いていると、どうしても歩みは遅めのペースになってしまい、そのたびに舌打ちされたり、ひどいとわざと押されたり、何度も恐ろしい思いをしました。駅だけならともかく、スーパーでも子連れでノロノロしていると、おばちゃんがカートをぶつけてきて、謝りもせずに去っていったり。昔、自分の子供が小さいころ大変だったことは忘れてしまったのかな。

 

アメリカ 育児

 

私の日系アメリカ人の友達は、駅を歩いているとき立ち止まってしまったのが原因で、文句を言われた挙句喧嘩になり、そのサラリーマンに顔を殴られました。それだけでもショックですが、彼女が一番ショックだったのは、それを見てる人がたくさんいたのに、誰も助けることも声をかけることさえしなかったことだそう。

 

ネット上でも、ベビーカーを押す母親の電車でのマナーに関する議論が見られます。ベビーカーを押して朝の通勤電車に乗るな、ラッシュアワーが終わってからにしろ、というのが、よく見られる意見ですが、朝の通勤電車は、誰が所有しているものでもないことをお忘れですか。だから公共交通機関と呼ばれるのです。わざわざ好き好んで通勤電車に乗るママはいないのだから、その辺の事情は悟りましょうよ。

 

こんな怖い世の中で、少子化対策にいくら小冊子を作ったところで、効果は薄いのではないかと思います。保育園だって、行政は必要な関与をせず、国民は少子化によって経済は活力を失い、社会保障制度の土台も揺るぐ可能性など把握せずで、建設中止が相次ぎ、そんな中で頑張って生んでも、電車に乗っては怒られ、パパは残業で家庭を顧みず、保育園問題で働きにも出れず、誰がそんな国で子供を生みたいって思うんだろう。

 

もちろんアメリカにも日本にはない大きな社会問題はあるけれど、日本に比べたらまだまだ子供を生もうという気になります。妊娠中も出産後も、見知らぬ人に席を譲ってもらったり、重いものを持ってもらったりと、いろいろな場面で親切にしてもらいます。子供を守るためのルールや法律もしっかりと定められています。例えば、スクールバスが来たら周りの車は子供が乗り降りを終わるまで止まって待たなければなりません。他には、小さな子供を車や家に置いて出かけることは、たった5分でも犯罪になります。パパだって残業をせずに帰ってきてくれるし、それができなかったらシッターさんや家事代行を気軽にお願いできます。社会全体のサポートの層の厚さが、子供を生み育てることへの安心感へとつなががるわけで、少子化対策の一環で「生め生め」言うことは何の解決にもなりません。

 

イベントのセミナーに参加し終わった子供たちはみんな可愛らしい笑顔で、物怖じせずに周りの大人に話しかけます。どうして物怖じしないのかって?笑顔が返ってくるって、経験を通して知っているから。日本にもそういう姿勢を持つ人がもっと増えて、社会全体で子育てを支える仕組みができたら、控えめで、強く優しい人々の国日本ですから、アメリカなんかよりもずっと住みやすくて、育児のしやすい国になるのではないでしょうか。

 

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