半年前から、長女が歯の矯正のための矯正装置(ブレース)を入れることになりました。歯並びに問題があることは以前から分かっていて、それを直すのはアメリカ社会で生きて行くためには大切なことなので、ある程度のコストは覚悟していましたが、実際クレジットカードで支払いをする段階になると怖気づきますね。だって・・・、6000ドル(65万円ほど)なんだもの!

 

 

アメリカの医療費はもともと高いですが、矯正に関しては保険が効かないことがほとんどなので、このくらいのだいたい3000ドルから8000ドルほどかかると言われていました。それでもある程度の暮らしが送れる人々が集まる社会においては、歯並びが悪い人はほとんどいないアメリカ。日本でカワイイとされる八重歯も、こちらではかなりマイナスに見られてしまいます。必要経費と考え、一括でも払えたのですが、利子がかからないという分割払いにしました。頭金が1200ドルで、残りを22ヶ月かけて払っていきます。

 

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私の周りにはそれなりに裕福な家庭が多いので感覚が鈍りますが、大学時代にありえないほど貧乏生活を送った私からすれば、こんな大金を躊躇なく払えるような収入があるのは奇跡のような境遇で、本当にありがたいと思っています。毎日早起きして、仕事を頑張っているおかげ。そんな仕事ができる状況にあるのがさらにありがたいし、それができる健康があるのもありがたい。

 

私が大昔に思い描いたやりがいのある仕事ではないけれど、ギリギリ安心して暮らせるだけの収入があるありがたさは、夢見ていた頃には分からなかったことだな、と今になって胸をなでおろすのです。

 

私が短大を卒業してOLとして働き出した頃は、同じ会社に勤める先輩OLやサラリーマンたちを見て、「こうはなりたくない」と思っていました。たった一度の人生ですから、好きなことをして、後悔ない人生を歩みたいと夢見ていました。だからこそいろいろな道をたどって、ついには会社を辞めました。一度は菓子職人になりたいと教室に通ったし、日本語教師になって外国人に日本のよさを伝えたいと思ったし、海外ボランティアで恵まれない人に愛の手を差し伸べたいと鼻息を荒くしていました。収入はさほどよくないけれど、自分の人生を生きたいと切に願っていました。

 

逆に会社の先輩たちが毎日愚痴をこぼしながら死んだような顔つきで出社するのを心の底から気の毒だと思ったし、ペコペコと上司やお客さんに頭を下げるのも絶対に私には無理だと毛嫌いしていました。そんな人生で、死んだ時に何が残るの?と。

 

でも、私がその時考えもしなかったのは、と言うよりは考えないようにしていたのは、不測の事態が人生にはありうるということ。自分が病気をするかもしれないし、それは親かもしれないし、家族を持ったらその可能性はさらに大きくなります。

 

ニートの人たちの討論番組なんかをたまに見ても、私があの頃に考えていたのと同じような意見が交換されていて、共感します。働いている人たちが「そんなんじゃ生活していけないよ」と諭そうとしても、「でも今実際生活できちゃってるから」というのが、彼らの意見。そうよね、私も仕事辞めても生活できちゃっていました。実家があったからね。

 

お金がすべてじゃない

 

そういう考えの何がいけないって、通勤もなく、アホな上司にヘコヘコしなくて済む生活は自由のようで、実はまったく自由でないということ。病気になった時に、死ぬか、路頭に迷うか、借金だらけの政府に頼るかしかの選択肢がない人生は、限りなく不自由であることに気づいてないこと。

 

生きていくのに最低限のお金、それは毎月の食費がようやく払えるという意味ではなくて、ある程度の不測の事態にもなんとか対応できるだけの財力と生命力がある暮らしがあってこそ、そこから自由を求めるためのスタート地点に立てるのでは、と考えるようになった私。自分の娘の歯並びも治せないようでは、その選択肢もないようでは、朝好きな時間に起きる自由なんて意味があるのかな。

 

ちなみにその「最低限のお金」とはいくらか、という話ですが、これはアメリカでは場所によるところが大きいです。私が住む都会で、毎年日本に里帰りする余裕があって、ある程度の治安やスクールシステムのエリアに住むとなると、十万ドル(1千万円)あっても厳しいです。このEconomic Policy Instituteの記事によると、テネシー州のとある市では49114ドル、首都のワシントンDCで106493ドルと出ています。日本よりも生活コストはずっとかかります。

 

What Families Need to Get By

 

お金がすべてではないし、お金で自由は買えないけれど、お金がなくても自由は買えない、という経験談でした。うえーん、6000ドル、きついよー。

 

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